確定申告は、日頃の準備で決まる。
不動産所得がある場合、毎年確定申告が必要だ。「大変そう」というイメージを持つ人も多いが、日頃の準備をしっかりやっておけば、申告書作成自体は集中すれば半日で終わる。私のやり方を公開する。
使っているツール——弥生会計(買い切り版)
会計ソフトは弥生会計を使っている。あえてオンライン版ではなく買い切り版を選んでいる。理由はシンプルだ。買い切りの方がコストが安いし、自分の不動産投資において新しい会計上の論点が今のところないからだ。毎年同じような処理を繰り返すだけなら、買い切り版で十分対応できる。
領収書・証憑も電子化せず紙のまま保存している。スクラップブックに貼り付けて整理するスタイルだ。
日頃やっていること——3つの準備
① 家賃の実績をExcelで整理する
管理会社から送られてくる明細データをExcelで整理し、弥生会計への仕訳用データに変換しておく。ここを事前に整えておくと、申告時の入力が一気に楽になる。
② 日頃の活動費をExcelにまとめ、証憑を保存する
旅費交通費・打ち合わせのための飲食代・固定資産税の領収書など、現金で支出したものをExcelに記録しておく。同時に領収書・証憑はスクラップブックに貼り付けて保管する。ポイントは現金支出のみをここで管理することだ。口座引き落としのものは通帳で確認できるため、日頃の記録は現金支出に絞る。
③ 借入金の返済表をExcelで作成し、実際の引き落とし額と一致確認する
ローンの返済表(元金・利息の内訳)をExcelで作成し、実際に口座から引き落とされた金額と一致しているかを確認する。ここで差異が出た場合は何かが起きているサインなので、早めに確認できる。
申告書作成時の流れ
① Excelデータを弥生会計に一気に取り込む
日頃整理していたExcelデータを弥生会計にインポートする。手入力の仕訳はほとんど発生しない。これが時間短縮の一番のポイントだ。
② 固定資産台帳から減価償却費を取り込む
弥生会計に登録してある固定資産台帳から、自動計算された減価償却費を取り込む。物件情報を最初に登録しておけば、毎年自動で計算してくれる。
③ 通帳を確認しながら残りの仕訳を起票する
口座引き落としで処理されているものを通帳で確認しながら起票し、決算末時点での残高を一致させる。
④ 利息を土地対応分とそれ以外に分けて登録する
借入利息のうち土地取得分は経費計上できないルールがある。補助科目で土地対応分とそれ以外を分けて登録しておくことで、正確な経費計算ができる。
⑤ 保険料など複数年分の支払いを期間按分する
火災保険料など複数年分をまとめて支払っているものは、当期対応分のみを費用として計上する。残りは前払費用として貸借対照表に残す。
⑥ 貸借対照表の残高を確認する
最後に貸借対照表の各残高が実態と一致しているかを確認する。ここがズレていると申告書の精度が落ちる。
税理士への提出資料をまとめる
上記の弥生会計データに加えて、税理士に提出する基礎資料を集める。
- 源泉徴収票(給与)
- 株式の運用成績(証券会社の年間取引報告書)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書
- 弥生会計の出力データ
この基礎資料集めが案外面倒で、毎年「どこにしまったっけ」となる。これを効率的に集める仕組みを作ることが今後の課題だ。税理士側でチェックを行い、e-Taxで提出して完了となる。
会計知識がない人はつらいと思う
仕事で会計に携わっている自分でも、入力はそれなりに手間だ。日頃会計に触れていない人が一から始めると、かなりつらいと思う。「借方・貸方って何?」「これは経費になるの?」——会計の基礎知識がないと、ソフトを開いた瞬間に詰まる。
そういう人には最初から税理士に全部お任せする選択肢もある。費用はかかるが、精神的な負担と時間を考えると十分元が取れると思っている。
来年から意識すること——住宅ローン減税とふるさと納税の上限
令和8年(2026年)からは住宅ローン減税が自動適用される。住宅ローン減税が加わると課税所得の計算が変わるため、ふるさと納税の上限額にも影響が出る。毎年税理士に上限額を確認してから納税するスタイルを続けていく予定だ。
まとめ——日頃の準備が申告を半日で終わらせる
Excelで家賃実績を整理し、証憑をスクラップブックにまとめ、返済表で残高を確認する——この3つを日頃からやっておくだけで、申告書作成は集中すれば半日で終わる。
自分の数字を把握することは、投資判断の精度にも直結する。面倒でも、自分の会計は自分で理解しておくことをおすすめしたい。