令和4年、横浜市〇区にある一棟アパートを取得した。149.5平米、12戸。
買う前から「やばそう」とは思っていた
内見したとき、正直に言うと建物の状態はあまり良くなかった。半地下の構造で湿気が強く、壁や床の傷みが目立つ部分もあった。「これは手がかかるな」という感覚はあった。
それでも買った理由はひとつだ。土地値で考えると明らかにお得だった。
横浜市〇区という立地、149平米超の土地面積。建物の状態を差し引いても、土地の価値だけで十分ペイできると判断した。建物は古くなれば壊せばいい。そういう割り切りで取得を決めた。
現実は想定を超えてきた
取得後、問題は次々と出てきた。
まず湿気だ。半地下構造のため、室内の湿度が慢性的に高い。入居者が退去するたびに、壁紙はカビで変色し、床材は浮き上がり、クロスは剥がれていた。原状回復工事のたびに1部屋あたり約50万円の費用がかかった。月家賃が3〜5万円台の部屋で、退去のたびに10〜16ヶ月分が消えていく計算だ。
さらにシロアリの疑いも出てきて対策も必要になった。湿気が多い環境はシロアリにとって好条件で、建物の一部に被害が出る前に手を打たないといけなかった。駆除費用と合わせると、修繕費の累計は想定をはるかに超えた。(結局シロアリはいなかった。)
「維持できない」と判断して売却へ
取得から約2年が経った頃、判断を迫られた。このまま持ち続けるか、売るか。
維持し続けるには、湿気対策の大規模工事、設備の全面更新、定期的なシロアリ点検——これらに継続的に投資し続ける必要があった。費用だけでなく、管理の手間も相当なものだ。サラリーマンをしながら他に4棟を抱えている自分には、正直手に負えないと感じた。
令和6年4月、売却を決断した。売却価格は約5,207万円。取得費・工事費・経費を差し引いても、大きな損失にはならない形で着地した。
「もし持ち続けていたら」という後悔
売却後、横浜エリアの土地値は上昇を続けている。あのまま持ち続けていたら——そう考えることがある。維持コストをなんとか乗り越えていれば、昨今の土地値上昇でもっと大きなリターンが得られていたはずだ。取得時の判断(土地値でお得)は、結果的に間違っていなかった。
ただ、正しい判断でも、自分のキャパに合わない物件は手放すべきだというのが、今の正直な気持ちだ。
この経験から学んだこと
取得前のチェックリストに、今なら必ず加えること:
- 半地下・地下構造は湿気リスクが高い
- 築古物件はシロアリ調査を必ず実施する
- 原状回復費の想定は「最悪ケース」で計算する
- 維持コストが高い物件は、自分の管理キャパと照らし合わせる
- 土地値だけで判断せず、ランニングコストをセットで考える
痛い授業料だったが、不動産投資家としての自分を一段階成長させてくれた物件でもあった。