なぜ借りてまで外装工事をしたのか

令和7年(2025年)、神奈川県西部・テラスハウス(一棟4室)の外装工事を実施した。費用は合わせて約438万円(外装工事407万円+電線の防護31万円)。自己資金ではなく、全額を借入で賄った。

「また借金が増えた」——数字だけ見ればそう映るかもしれない。実際、貸借対照表の借入残高は一度減ったあと、また増えた形になった。でも私はこれをネガティブに捉えていない。むしろ、必要な投資だったと思っている。

この記事では、工事をした理由と、見積の明細(単価つき)、見積に書かれていなかった追加費用、そして全額を借りた理由まで、全部書いておく。

なぜこのタイミングで工事したのか

理由はいくつかある。

まず、建ててから年数が経っていたこと。そして、風の影響で屋根の一部が外れることもあった。ここまで来ると「そのうち」では済まない。

もう1つは、戦略的な理由だ。ほかの物件の減価償却がそろそろ終わる時期に来ていた。(その話はなんとなく買い続けたら減価償却が同時に終わりそうになった話に書いている)。そのタイミングも考えて、戦略的にこの工事を入れた。

そして、どの物件にやるか。持っている物件の中で、このテラスハウスは今後も需要が見込めると判断した。お金をかけるなら、これから先も入居が続きそうな物件に、という考えだ。

工事の中身——見積の明細を全部出す

見積は2025年1月、契約も1月。工期は2月20日から3月31日までの40日間だった。支払いは着工時に50%、完工時に50%。

外装工事の明細はこうなっている(金額は税抜)。

項目 内訳 数量 単価 金額
仮設足場工事 飛散防止メッシュシート込み 475㎡ 850円 403,750円
屋根足場 215㎡ 800円 172,000円
場内小運搬 1式 80,000円 80,000円
外部水栓設置 取付・撤去 1式 30,000円 30,000円
高圧洗浄 681㎡ 150円 102,150円
養生費 ビニール養生、床養生等 1式 85,000円 85,000円
下地処理 ケレン、ひび割れ補修等 1式 18,000円 18,000円
シーリング打替え 外壁材の継ぎ目 292m 1,100円 321,200円
シーリング増打ち 開口部周り等 332m 900円 298,800円
外壁塗装 下塗り 362㎡ 600円 217,200円
外壁塗装 中塗り・上塗り(シリコン系) 362㎡ 1,800円 651,600円
屋根塗装 下塗り 215㎡ 800円 172,000円
屋根塗装 中塗り・上塗り 215㎡ 1,800円 387,000円
屋根縁切り タスペーサー 215㎡ 500円 107,500円
軒天塗装 2回塗り(透湿性塗料) 62m 1,800円 111,600円
破風板塗装 2回塗り 62m 1,400円 86,800円
雨樋塗装 2回塗り 70m 1,200円 84,000円
水切り板金塗装 錆止め・2回塗り 98m 850円 83,300円
シャッターボックス・出窓上部 錆止め・2回塗り 14か所 4,800円 67,200円
ベランダトップコート 清掃・アセトン・仕上げ塗装 4か所 25,000円 100,000円
消耗品、機材損料 発生材処分費等 1式 30,000円 30,000円
外装工事 計 3,609,100円
諸経費 工事保険・現場管理費・法定福利費等 1式 180,455円
端数調整 1式 −89,555円
小計 3,700,000円
消費税10% 370,000円
合計(税込) 4,070,000円

見てわかるとおり、塗装そのものより先に、足場だけで仮設と屋根を合わせて575,750円かかっている。外装工事の約16%だ。外壁はシーリング(継ぎ目のゴム状の部分)の打替えと増打ちで、合わせて約62万円。塗る前の準備にお金がかかる工事だった。最後に約9万円の端数調整(値引き)が入って、小計はちょうど370万円になっている。

見積の注意書きには、こんな一文もあった。「塗装メンテナンスは素材の保護が目的となります。素材が強くなることや漏水を直接予防する目的はありません」。塗装は、雨漏り対策そのものではないということだ。ほかにも「屋根の高圧洗浄でスレート瓦が割れるリスクがあり、割れたら1式60,000円(税別)〜」と書かれていた。

見積に書いていない「別途」が来た——電線の防護で30.8万円

もう1つ、見積の注意書きに「近くを走る鉄道の高圧線の防護管の設置は必須。有償の場合は別途」とあった。結果は、有償だった。

工事が終わったあとの2025年8月に、電気工事の会社から請求が来た。防護管の取付けと取外しはどちらも夜間で、213,000円。近くを走る鉄道への工事の申し込みも必要で、諸経費が67,000円。税込で308,000円だった。

外装工事の407万円と合わせると、約438万円。見積の「別途」は、本当に別途で来る。

なぜ全額を借りたのか

工事費は全額ローンにした。理由は3つある。

1つは、この物件は長く持つと決めたこと。もう1つは、この先、追加で借入をして物件を買おうとしても、市況的に金利はたぶん厳しくなりそうだと考えたこと。だったら、長く持つと決めた物件の工事で借りておこう——そういう感覚だった。金利との付き合い方は借入利息の怖さと付き合い方に書いている。

工事しない選択肢は、じわじわと損をする

築古アパートは放っておくと外壁の劣化が進む。見た目が悪くなれば入居希望者の印象が下がり、空室が増えやすくなる。空室が増えれば家賃収入が減り、管理が難しくなる。「今は問題ない」と先送りにするほど、後でかかるコストは大きくなる。

工事は「今お金を使う」行為だが、「将来の収入を守る」投資でもある。

売却時に価格に乗せて回収できる

不動産の売却査定では、外壁・屋根の状態は重要な評価ポイントだ。工事直後の物件は、同条件の物件より高く評価されやすい。

以前売却したアパートでも、保有中に内装工事を実施していた。売却価格は約5,207万円。工事費用は最終的に売却価格の中に回収されたと考えている。

今回も同じ発想だ。今の約438万円の工事費は、将来の売却価格に上乗せできる可能性がある。借入期間中は月々の返済がかかるが、出口(売却)まで含めたトータルで考えれば、決して悪い判断ではない。

不動産投資は「保有中」だけで判断しない

株と違い、不動産は売却するまで最終的な損益が確定しない。だから保有中の毎年の収支だけを見て「損した・得した」と判断するのは早計だと思っている。

工事費用、借入金、税務上の赤字——これらはすべて、売却時のリターンも含めたトータルで評価すべきものだ。

短期の数字に一喜一憂せず、出口まで見据えて判断する。これが、5年間やってきて学んだ不動産投資の本質のひとつだ。

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