振り返ると、買い方に戦略がなかった。
不動産投資を始めてから、R3〜R4の2年間で一気に5〜6棟まで物件を増やした。当時は「良い物件があれば買う」というスタンスで、特に深く考えていなかった。でも今になって、もう少し計画的に買うべきだったと感じている。その理由が、減価償却だ。
築古物件は減価償却が短期間で終わる
不動産投資における減価償却は、建物の耐用年数をもとに計算される。新築や築浅であれば耐用年数が長く、長期間にわたって減価償却費を計上できる。一方で築古物件は残存耐用年数が短い。私が保有する物件はほとんど築古だ。取得時に減価償却費は大きく計上できるが、その分早く終わってしまう。
実際の減価償却費の推移を見るとこうなっている:
| 年度 | 減価償却費 |
|---|---|
| R3 | 約182万円 |
| R4 | 約417万円 |
| R5 | 約416万円 |
| R6 | 約440万円 |
| R7 | 約259万円 |
R7ですでに約259万円まで落ちている。R4〜R6のピーク期と比べると大幅な減少だ。このまま行くと、数年後には減価償却費がさらに激減する可能性がある。
減価償却が終わると何が起きるか
減価償却費が減ると、税務上の不動産所得が増える。これまで赤字だった不動産所得がプラスに転じると、損益通算ができなくなる。結果として源泉還付がゼロになり、不動産所得に対して税金がかかるようになる。キャッシュフロー自体は変わらないのに、税負担だけが増えるという状況だ。
理想の買い方——継続的に減価償却を発生させる
本来であれば、毎年少しずつ物件を買い続けることで、減価償却を継続的に発生させるのが理想だった。古い物件の減価償却が終わりかけるタイミングで新しい物件を取得する。そうすることで減価償却費が途切れず、損益通算の恩恵を受け続けられる。
継続的に投資を行うためには、金融機関に決算書を提出して融資を引き続き受けられる状態を保つことも重要で、そのためには一定の黒字化も必要になる。でも当時の自分はそこまで考えていなかった。良い物件があれば買う、それだけだった。
今の市況では新規投資は割に合わない
では今から新しい物件を買って減価償却を補充すればいいのか——そう単純にはいかない。今の市況では、借入をもとにした新規投資は割に合わないと感じている。金利が上昇傾向にある中で、利息コストが重くのしかかる。物件価格も高止まりしており、利回りが出にくい。無理に動くタイミングではない。
だから今のスタンスはこうだ。減価償却が続く間は赤字をうまく活用して源泉還付を狙いつつ、今ある資産を大切にメンテナンスする。積極的な拡大より、足元を固めることを優先している。
この経験から学んだこと
不動産投資のペースと買い方には、税務上の戦略が必要だ。特に築古物件中心で運用する場合は、減価償却がいつ終わるかを常に意識しておく必要がある。
「良い物件があれば買う」というスタンスは悪くないが、そこに「減価償却の継続性」という視点を加えておけば、より最適な買い方ができたと思っている。結果的に「なんとなく今に至る」になってしまったが、その経験から学んだことは多い。これからの投資判断に活かしていくつもりだ。